錆の原因と対策 極圧剤

極圧剤による錆発生

 『ボルト、ナットの圧造部品は、圧造加工と切削、熱処理が中心である。ここでは、硫黄、塩素系極圧剤を大量に配合した圧造油、切削油が使用され、加工部の発錆・腐食を招くケースが多い。』1)

 『切削剤・研削剤には極圧剤として塩素系・硫黄系添加剤が添付されている場合が多い。これらの極圧添加剤は、金属表面で反応することにより極圧性を発揮するため、切削・研削工程直後の鋼鉄部品には、こうした塩素化合物あるは硫黄化合物が残存している。これらの化合物、特に塩素化合物はさびの発生に著しい悪影響を及ぼすが、灯油に不溶であり、灯油による洗浄では除去できない。』2)

極圧剤による錆発生対策

 『油剤選定に当たっては油剤の反応性に注意を要する。加工時の高温下では、極圧剤が反応して反溶着性を示し、常温下では不活性タイプの油剤が圧造油、切削油には求められる。選定の目安としては、銅板腐食試験値で2以下のものが比較的良好である。』1)

 切削・研削工程の影響排除に有効な洗浄油2)
  ・不水系切削剤・研削剤が使用される場合
   塩化物などは水に溶解するため、水を配合した洗浄さび止め油を用いることが有効である。
  ・水系切削剤・研削剤が使用される場合
   洗浄液の水置換性を強化し、
   金属表面からこれらの水溶液を完全に除去することが有効と考えられる。

参考文献

1)さびを防ぐ事典編集委員会 編. さびの発生原因と対策, 産業調査会出版部, P28,1984.9, (さびのQCシリーズ)

2)防錆・防食技術総覧編集委員会 編. 防錆・防食技術総覧 : 工業材料を使用環境から保護するための, 産業技術サービスセンター, P991~914,2000.5

コメント

タイトルとURLをコピーしました